日日平安 山本周五郎


行きに図書館へ寄れたので、先日見た『椿三十郎』の原作である山本周五郎の『日日平安』を借りて読む。
この小説は昭和29年にサンデー毎日に発表されたものである。読んでみて実に驚いたのは主人公には
菅田平野(すがたひらの)というどちらも苗字のような名前がはじめから書かれていたこと。そして
決して剣の達人ではなく、腹をすかして切腹のまねをして物乞いをするような落ちぶれた武士で、
かつうまく話をすすめて仕官をしてやろうと企てているような性格であったことである。
ただ、随所に映画で見た内容と重なる名前や場面設定、せりふがあるが、黒澤監督作品でどう
変わったのかを知りたくて調べたら
徳島大学附属図書館長 石川榮作氏のが以下のような説明をされていた。
「(前略)黒澤明はこの小説を読んでおもしろいと思い,その脚本を書いたが,映画会社の要望
によって主人公の浪人はもっと強い男にすることになり,前作『用心棒』(昭和36年)の主人公
「三十郎」を引き継ぐかたちで,強くてカッコいい浪人「椿三十郎」が生まれたようである。
こうして弱虫の浪人から,正反対の最強の浪人が生まれ出てきたのであるが・・(後略)」
http://www.lib.tokushima-u.ac.jp/m-mag/back/035/35-1.html
この原作を、映画に置き換えることで、またさらに面白みが出てきたわけである。なるほどなるほど・・・