読了22 絲山 秋子『イッツ・オンリー・トーク』イッツ・オンリー・トーク作者: 絲山秋子出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2004/02/10メディア: 単行本 クリック: 7回この商品を含むブログ (143件) を見る

第96回文學界新人賞を受賞し小説家デビュー作品である。表題作の「イッツ・オンリー・トーク」と
「第七障害」の2編が収められている。
「イッツ・オンリー・トーク」はうつ病、痴漢、蒲田、政治というキーワードで
綴られ、いかにも芥川賞候補らしい作品のトーンで語られる。
日常と非日常の境界線にいる読者に、非日常に引きずり込むかのようなキーワードを
並べているような印象を受けるのはへそまがりだろうか?
ちょっとこの数日、まさに気持ちが芥川賞的なので、こんな書き方しかできなくてすみません。
小説はもう少し自然に日常と非日常を心地よく行き来してほしいなと思う。特に今・・・
「イッツ・オンリー・トーク」の主人公をわからなくはないが、わかりたくないような気がした。
自分としては「第七障害」の方に、この作家の味が自然な形ででているような気がして好感を
もった。愛馬を転倒させたと思い、その怪我がもとで死なせてしまった自分を責めながら
いろいろな人との関わりを通して癒され、希望を見出す。文体もわざとおどろおどろした書き方
をしているのかと思われた前作よりも、自然で作者の心情が素直に出ているように思った。
こんな綴り方であればこの作家もっともっと読んでみたい・・・・にゃ