読了54 村上春樹『風の歌を聴け』風の歌を聴け (講談社文庫)作者: 村上春樹出版社/メーカー: 講談社発売日: 2004/09/15メディア: 文庫購入: 43人 クリック: 461回この商品を含むブログ (466件) を見る

たまたま図書館で見つけた村上春樹のデビュー作。群像新人賞受賞の作品だ。
村上春樹の原点と思いながら読む。海辺の街に帰省した「僕」と、金持ちが許せない金持ちの息子「鼠」
そして、行きつけのバーで泥酔していたのw介抱した女の子とのひと夏を描いた作品。
ひとつの言葉、言い回しで話す人の人となりがわかるが、青春の中にいる者たちにとっては
その言い回しはひとつの仮面であり、偏屈で、曖昧模糊な表現に自らの知性を表出する術とする傾向が
ある。かつての自分もそうだった。この作品に出てくる若者たちの言葉は、そんな頃の自分を思い出し
恥ずかしくなるのをこらえ、懐かしさに浸った。
しかし反面、心のままに言葉を発し、相手の言葉を受け止めることに羨ましさを強く感じた。
昔はもっともっと背伸びをしつつも、心のままを語れた自分を、主人公とオーバーラップさせながら
読み終えた。なぜか涙が出た・・・・