シューベルトピアノソナタ4

シューベルト協会のHPによれば10,11,12番は
10: D613 ハ長調 2楽章のみ フラグメント (1818・4)
11: D625 ヘ短調 未完成  (1818・9)
12: D655 アレグロ 嬰ハ短調  (1819・4)
となっているので、CDnoジャケットと違っても、この表記にしたがうことと
する。従って昨日の12番がショパンと酷似は11番ということになる。
10番のメヌエットはあらためて見つけて聴いてみたが、なんともいえないやさしさと
気品に満ちた曲であった。
12番はひとつの楽章の断片となっている。力強く始まるユニゾンの主題から提示部まで
だが、16番の1楽章の展開部を思わせるようなフレーズの後に艶やかなメロディが続く。
なかなかの一品である。演奏も中途で終わるのがまた渋い・・・
■ピアノ・ソナタ第13番 イ長調 Op. 120/D. 664
13番は旅先で知り合ったソプラノ歌手でピアノもよく弾く18歳の娘のために書かれた
という愛らしい主題の曲。自分としては3楽章の歌曲のような旋律の方が好きである。
トリルの部分を聞いているとドイツ語の巻き舌で愛を語らっているような・・・
そんなシューベルトが見えてくる。

■ピアノ・ソナタ第14番 イ短調 Op. 143/D. 784
前作の明るい曲想から一変して、暗く、深く、重い・・・内省的な作品となっている。
2楽章も雨が降り続くのを一人部屋から眺めているような雰囲気で、昔は良かったねと
と湿っぽくしているシューベルトがいる。経済的に苦しい時期だったという説もあるが
いやいやそんな理由じゃないであろうと勝手に想像する・・・その気持ちのまま早い
パッセージにするとこんな曲に仕上がるであろうというのが3楽章か♪でも、ほんの少
し光明が見え初めて来たのを暗示しているかのような後半。シューベルトが作曲家として
充実してきたのがはっきりわかる曲だと思う。モーツアルトの40番のようなものかも。