川合玉堂「朝もや」

この作品もしばらく足を止めて眺めた。大きな松のある道を
牛舎を轢く農夫が中央に描かれた静寂の世界である。彩色はわずかに
後方の田に鮮やかなエメラルドグリーンがあるだけで、あとはほとんどが
朝もやの中の白黒のコントラストである。
朝もやをじっと見ていると、その中から村人が見えはじめてきそうな
感じがする。描かれた世界が朝もやの中に消え入りそうで、かつ
無音の静寂がここにはある。

他にも、大好きな小磯良平の作品で初めて目にした作品もあり、満足して
後にする。
銀座に出て、伊東屋を覗き、京橋でお茶を飲みながら本を読む。
日本橋まで歩き、丸善で本を物色。地下の文具を見て愉しみ帰途へ・・・