菱田春草「雀に鴉」

6曲1双の実に静かな作品である。制作年から春草晩年(といっても37歳で没している)
失明寸前からようやく立ち直りかけた頃に身近な素材を描いた時期なのだろう。
どこにでもいそうな雀と鴉を丹念に描いている。春草の作品を見るたびに早逝した画家の
執念と自然への愛情を強く感じる。