2008-12-07から1日間の記事一覧

川合玉堂「朝もや」

この作品もしばらく足を止めて眺めた。大きな松のある道を 牛舎を轢く農夫が中央に描かれた静寂の世界である。彩色はわずかに 後方の田に鮮やかなエメラルドグリーンがあるだけで、あとはほとんどが 朝もやの中の白黒のコントラストである。 朝もやをじっと…

菱田春草「雀に鴉」

6曲1双の実に静かな作品である。制作年から春草晩年(といっても37歳で没している) 失明寸前からようやく立ち直りかけた頃に身近な素材を描いた時期なのだろう。 どこにでもいそうな雀と鴉を丹念に描いている。春草の作品を見るたびに早逝した画家の 執…

中村不折「たそがれ」

今回初めて見たがこれも良かった、しばし作品の前で動けなかった。たそがれの光の中 うなだれる裸婦を描いたものだが、消え入りそうな光の中に倒れこんでいる女性が 実に曰くありげで、切ない。漱石の「吾輩は猫である」の挿絵も手がけている不折の 構図と明…

山下新太郎「窓際」

まず4階では大好きな山下新太郎の「窓際」を久しぶりに観る。 西洋美術館にあるエルネスト=ローランの「美しい肩」とは左右を 異にするが女性を斜め後方からの美しい線を描く。この作品に描かれる 窓の外の風景からは、郊外で静かな時間が流れているのが感…

国立近代

毎月初めの日曜が無料となる国立近代美術館だが、ここ数ヶ月 何だかんだと行けなかったのでいそいそと出かける。 帰りに銀座も寄りたかったので710円のメトロ一日乗車券を購入。 途中駅で下車して昨夜テレビで見て無性に食べたくなったケンタッキー フラ…