読了 長嶺 超輝『裁判官の爆笑お言葉集』裁判官の爆笑お言葉集 (幻冬舎新書)作者: 長嶺超輝出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2007/03/01メディア: 新書購入: 12人 クリック: 123回この商品を含むブログ (169件) を見る

裁判員制度について図書館で調べものをしていたら、なかなか面白い本だな
と読んでみた。長男をクローゼットに閉じこめ、その扉を冷蔵庫でふさいで監禁し死亡させた
母親に対して、大阪地裁 堺支部 坪井祐子裁判官が母親に対し「子どもは、あなたの所有物ですか?
社会全体の宝でしょ」と言った言葉は特に印象的であった。子どもは社会の宝である意識があれば
他人の子どもであっても注意すべきは注意する大人でありたいなとも思い、また公教育に携わる
者にとっての原点でもあろう言葉だ。他に、覚せい剤取締法違反の罪に問われた被告に向かって、
釧路地裁帯広支部 渡邊和義裁判官が発した言葉も胸を打った。裁判の進行は裁判長の裁量による
とのことだが、むずがり始めた生後6ヶ月の赤ん坊をあやすため、被告人の妻は傍聴席を立って廊下
に出ていたところを、裁判官は法廷の外から呼び寄せ、裁判官は「前へ来てください」と指示し、被告人
の隣へ立たせ、「今、この場で子どもを抱きなさい。わが子の顔を見て、二度と覚せい剤を使わないと誓え
ますか。」と諭したそうだ。被告人が、わが子を間近で見るのは1ヶ月ぶり、腕の中で以前より息子が大きく
なったのを感じたのか、彼はその場に泣き崩れ、動けなくなったという。
裁判官は庶民感覚が欠落しているようなことを聞いたりもするが、いやいや山田洋二監督も顔負けの人情
が伝わってきた。裁判員制度には、こんなものの見方に期待が寄せられているのかもしれないなと思う。