読了 『神器―軍艦「橿原」殺人事件』 神器〈上〉―軍艦「橿原」殺人事件作者: 奥泉光出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2009/01/01メディア: 単行本 クリック: 16回この商品を含むブログ (64件) を見る神器〈下〉―軍艦「橿原」殺人事件作者: 奥泉光出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2009/01/01メディア: 単行本 クリック: 6回この商品を含むブログ (58件) を見る

題名に殺人事件とあるが、内容は実に重い。物語は、日本の敗色が濃くなった昭和二十年初頭。
戦況を打開のため巡洋艦「橿原」が極秘の任務で出航する。しかし乗組員は行き先どころか、
任務の目的も知らされないままの出撃となった。この任務遂行のためのおとりとなるのは沖縄へ行く
「大和(本書中「矢魔斗」)」である。かの戦艦をおとりとしてまでも果たす目的とは何か。加えて
「橿原」の艦内の謎、不可解な出来事が頻発は何を意味するのか。「橿原」の任務との関係が一切
明かされぬまま、物語は時空を超え、人智を超えた展開となる。
後半、神国日本に再び神風を呼ぶという「橿原」の真の目的が見えてくるにつれ、戦争に向かった
日本とは、日本人とはについて考えさせられる。
しばらく疲れきって帰ってきたので、夜読み始めると、読みながら寝てしまうこともしばしと、本書
を読み進めるのは多少きつかったが、実に読み応えんのある内容であった。