寄り道・・・ハイドンへ

モーツアルトハイドンに献呈したいわゆる「ハイドンセット」
弦楽四重奏14番からの6曲を調べてみると、ハイドン弦楽四重奏の転機
に感銘を受けたことが大きく関係していることがわかったので、ハイドン
弦楽四重奏の転機を知りたくてハイドンの作品を聴き比べる。
転機となったといわれる作品は、ロシア四重奏曲Op.33(6曲)である。それ以前の
作品は10年前に書かれた太陽四重奏曲であり、その作品を聴き比べると、なるほど
モーツアルトが感銘を受けたのもうなずける。
太陽四重奏曲
弦楽四重奏曲第31番 変ホ長調 op.20-1 Hob.III:31
弦楽四重奏曲第32番 ハ長調 op.20-2 Hob.III:32
弦楽四重奏曲第33番 ト短調 op.20-3 Hob.III:33
弦楽四重奏曲第34番 ニ長調 op.20-4 Hob.III:34
弦楽四重奏曲第35番 ヘ短調 op.20-5 Hob.III:35
弦楽四重奏曲第36番 イ長調 op.20-6 Hob.III:36
を聴くと、ハイドンの美しい旋律こそあれ、主題を繰り返しなんとも形式ばった
じつに堅苦しい作品となっている。
31番の1楽章冒頭を聴いても、堅苦しさが・・・・
http://ml.naxos.jp/work/6580
それまで、ディベルティメント的な扱いをされてきた弦楽四重奏の分野に古典的な
対位法で芸術的な要素を加えようとしている努力がかんじられるものの、どうも
近寄りがたい作風に仕上がってしまったようだ。このことについてハイドン自身も満足していなかった
ようで、10年の歳月を経て書いたロシア四重奏では、ハイドン自ら「全く新しい特別の
方法で作曲された」と称したように、テーマを明確にしつつ、多様に変化させる、生き生きと
した形式にしることで、弦楽四重奏曲に命が吹き込まれたようだ。じつにのびのびしていて
楽に聴くことができる。この大きな変化こそモーツアルトにも大きな影響を与えたようだ。
ロシア四重奏曲
弦楽四重奏曲第37番 ロ短調 op.33-1 Hob.III:37(ロシア四重奏曲第1番)
弦楽四重奏曲第38番 変ホ長調 op.33-2 Hob.III:38『冗談』(ロシア四重奏曲第2番)
弦楽四重奏曲第39番 ハ長調 op.33-3 Hob.III:39『鳥』(ロシア四重奏曲第3番)
弦楽四重奏曲第40番 変ロ長調 op.33-4 Hob.III:40(ロシア四重奏曲第4番)
弦楽四重奏曲第41番 ト長調 op.33-5 Hob.III:41(ロシア四重奏曲第5番)
弦楽四重奏曲第42番 ニ長調 op.33-6 Hob.III:42(ロシア四重奏曲第6番)
とりわけ気に入ったのは41番と38番で、41番はどことなくモーツアルトの17番の
弦楽四重奏『狩』の雰囲気にも似ている。
41番
http://ml.naxos.jp/work/6623
38番『冗談』
http://ml.naxos.jp/work/6624