弦楽四重奏曲 第15番 ニ短調 K.421 (417b)

このセット唯一の短調曲である。モーツアルトニ短調はピアノ協奏曲20番やレクイエム
などのように、同じ短調でも交響曲第25番、交響曲第40番、弦楽五重奏曲第4番のト短調とは
違った印象を与えている。デモーニッシュな調とも言われているように、どこか悲愴的な印象
が強い。作曲時期に生まれた子どもが2ヶ月余で死んでしまっているが、それとも関連するのか
もの物悲しい旋律である。1,3,4楽章をニ短調でまとめているのだが、もの悲しさの中にも
1楽章の第2主題や2楽章の旋律にどことなく穏やかな優しさも感じる不思議な曲でもある。
モーツァルテウム弦楽四重奏団