弦楽四重奏曲 第19番 ハ長調 K.465 通称「不協和音」

第1楽章冒頭に不協和音に満ちた序奏があることから、「不協和音」と呼ばれているが、その響きは当時
としては理解し難いものであり、出版されたとき写譜の間違いとまで言われたらしい。しかし、モーツアルト
自筆譜を注意深く点検して印刷に出していたらしく、印刷されたもののチェックもしていたらしいので、意図的
なものだった。ただ、ハイドンハイドンセット全体を評価しつつも、この冒頭には近寄りがたいと思っていた
と記しているものもある。ただ、この冒頭の前奏が終わるや生き生きとした展開となり、チェロが主題を悠々と
弾く辺りはベートーヴェンチェロソナタを聴いているかのようである。
この曲は前作の完成日から起算してわずか5日で完成されたというこら驚きである。4楽章の力強さはやっと
6曲が仕上がるぞ!という気持ちも入っているのか・・・
タカーチ四重奏団

これら6曲をもって、ハイドンのロシアセットに影響を与えられモーツアルト弦楽四重奏の完成をみることに
なる。この後20番となる作品まで1年半は弦楽四重奏を書いていない。モーツアルトの達成感をここにもみる
ことができるのではないか。
江黒友美