読了 宮部みゆき『人質カノン』人質カノン (文春文庫)作者: 宮部みゆき出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2001/09/01メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 23回この商品を含むブログ (83件) を見る

いつものコンビニで偶然出くわした強盗事件。そこに居合わせた人々の生活と
関連させた表題作のほか全7編が所収されている。それぞれに市井に生きる人々の
生き様が生き生きと描かれ味わい深い。中でも「八月の雪」という作品には
人生を投げてしまおうとする若者が、祖父の遺品から生きることの意味を
捉えなおすという深い話だったのが印象的だった。2・2・6事件を題材と
しているが、同題材を扱った『蒲生邸殺人事件』を思い出し、作者の2・2・6事件
への思いとは何なのかなとしばし考える。