ベートーヴェン ピアノソナタ13
いよいよベートーヴェンのピアノソナタも残すところ3曲となった。30番から
32番の作品は演奏も多く、講評も多くあるのでポリーニ、ゼルキン、内田光子
リヒテル、ギレリスを中心に聞き比べてみた。
- アーティスト: リヒテル(スヴャトスラフ),ベートーヴェン
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- アーティスト: 内田光子,ベートーヴェン
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ベートーヴェン:ピアノソナタ第29番「ハンマークラヴィーア」&第30番
- アーティスト: ギレリス(エミール),ベートーヴェン
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- アーティスト: ゼルキン(ルドルフ),ベートーヴェン
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- アーティスト: ポリーニ(マウリツィオ),ベートーヴェン
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1楽章のきらめく光を感じさせる主題を一番輝かせているのは内田光子のような気がする。
音の余韻をうまく残しながら鮮やかな表現がされている。ギレリス、リヒテルはやや重く
ポリーには軽い感じがする。たかだが4分弱の楽章だが、この曲の印象を大きく左右する
冒頭主題にそれぞれの個性が如実に現れている。2楽章のプレスティッシモは躍動感と
沈静を交錯させるまさに情念を感じさせる楽章である。がゆえにここはテンポを重視して
ポリーニの生き生きとした演奏を押したい。ただ、やさしい表情を見せる経過部での表現は
内田に軍配があがる。この楽章もギレリス、リヒテルはゆっくり目のテンポで重厚感があるが
聴いていてうまくリズムに乗り切れない。ゼルキンは老齢ながら冒頭と終結部では実に力強い
表現で迫ってくる。ただ、展開部では少し沈鬱さが感じられ重い。
3楽章はこの曲の中核となる楽章なのかもしれない。その主題と変奏は穏やかな表情の奥に
しみじみとした感性が横たわるかの如しである。ギレリスの表現はその中でも印象に残った。
ゆっくり目であるが情感の多く深さがじわじわと伝わってくる。
2009年7月号の「レコード芸術」の評価では、ポリーニ15点、ゼルキン11点、ギレリス
8点、内田、リヒテルは6位の2点となっているが、自分は内田の30番が全体的に芳醇な表現
となっていて、この曲の持ち味が十分出ているように思う。
ついでながら、56年のグールド版のバッハ風の2楽章、現代的な感性が光る3楽章もなかなか
面白い。