モーツアルトの死因

図書館より借りてきた『アマデウスモーツアルト その不可解な死』を見た。モーツアルトの死にはサリエリの毒殺説があるが、このDVDでは医学的な解明を試みている。それによれば一番主力の死因説は心不全。幼い頃にかかったリウマチ熱からきた心臓弁のダメージが、その後の成長で繰り返され心臓機能が低下し、心臓が肥大。心筋が膨張し最後には心不全により、血液が逆流したとのこと。モーツアルトの最後が伝えられている様相である全身のむくみ、高熱、全身の痛みにぴったりなのだそうだ。同じ、リウマチ熱説に拠りながら、心臓ではなく他の器官の損傷という説もある。シェーンライン・ヘノホ症候群の発病による腎臓機能の低下とのこと。慢性腎不全とその影響による高血圧になったモーツアルトの症状が、晩年のモーツアルトの精神状態や死際の症状の発熱・発疹・関節痛とも合致するらしい。いずれにしても、晩年人気を取り戻したモーツアルトが精力的な仕事をし、その過労から病死であることは、この二つとも同じである。しかし、新たな死因として登場するのが、豚肉の寄生虫説である。せん毛虫症といわれる寄生虫による病気の潜伏期間である50日以内に、豚肉を食べていたという手紙が発見されたというのだ。
サリエリの毒殺説にも触れている。しかし、当時砒素や鉛、アンチモンの混入された無味無臭の毒物「トハナ水」が毒殺によく利用されていたそうだが、モーツアルトの死際の様相からはこの毒物説はありえないとのこと。話としては面白いのだが、自白したサリエリ自身当時痴呆を患っていたとのことだからなお信憑性は低いであろう。
いずれにしても、当時の記録をもとにした研究の成果を知ることが出来て大変興味深かった。それにしても、文献として価値のある記録が数多く残されていること自体にも驚いた。病気の様子、生活の様子などを読み取ることのできる手紙や日記があることで、当時の様子を知ることが出来たのだが、果たして我々はどうであろうか。細かなことまで記すような手紙は書かれないし、病気などの細かい症状についてはなかなか日記に書かないのではないだろうか。
250年後、小生の死因を研究する人が出てくるかもしれないが、死因は人間ドックの記録をどうぞ見てください。。。。たぶん食べすぎです。